アーン アウト 条項。 経営者必読!アーンアウト条項で損するとはどういうことか解説!

【M&A】アーンアウト条項と税金のお話し。

アーン アウト 条項

アーンアウト条項付きのM&Aとは Q:先日、あるプレスリリースをみていたら、「当社は、A社の発行済株式のすべてを取得し、その対価として100億円、およびA社がマイルストーンまたはロイヤルティ収入を受領した場合には最大で200億円、合計で最大300億円を支払う。 」という買収契約がありました。 A(会計士):アーンアウト条項がついた買収対価の支払いですね。 会計では「条件付取得対価」といわれています。 M&Aの価格交渉は、対象企業または事業の将来の業績見込みを念頭において行われますが、売主と買主との間で業績見込みが大きく違うことがよくあります。 売主の業績予測は、計画を慎重に評価する買主からは楽観的に見えますし、買主の慎重な業績評価を売主は自らの事業価値が正当に評価されていないと感じたりするものです。 そこで、アーンアウト条項を付けて、価値評価のキーとなる指標 典型的には売上高やEBITDA等 を特定し、一定の期間 1年から3年程度が多い に一定の業績を上げた場合には、買主は売主に対してそれに見合った対価を支払う約束をしてM&Aを成立させるわけです。 財務指標のほか、一定の事実の発生、例えば、対象事業が医薬品の開発であれば新薬の認可取得をアーンアウトの条件とする場合もあります。 Q:なるほど。 自分の見たケースも、医薬品の開発に関係していました。 このような合意があれば、対象事業が所定の業績を達成しなければ、買主は追加的な対価の支払いが不要なので、高い買い物をするリスクを避けられるし、売主は、売却事業が所定の業績を上げた場合には、その価値に見合った対価を得ることができるわけですね。 A(会計士):はい。 売却対象会社の株主でもあった経営陣が、買収後も引き続き経営に参画してもらう必要性が高い場合にも、アーンアウト条項を利用することがあります。 欧米の企業では、以前からこのような契約を締結することが多くありましたが、最近は日本企業でもこのような条項を使うケースが増えているように思います。 条件付取得対価とは -将来の業績等に基づき追加的に対価が支払われる契約 Q:それでは会計処理を伺いたいと思います。 まず、「条件付取得対価」の定義はなんでしょうか。 A(会計士):会計基準では、条件付取得対価とは、「企業結合契約において定められるものであって、企業結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して、企業結合日後に追加的に交付又は引き渡される取得対価をいう。 」とされています。 まさに今回のケースがそれに該当することになりますね。 定義では「追加的に交付又は引き渡される取得対価」とされ、取得企業(買主)が対価を追加的に支払うケースが記載されていますが、反対に所定の業績が達成できない場合には売主から対価を返還してもらう(または支払うべき対価を減額する)契約も条件付取得対価に含まれると考えてよいでしょう。 また、「将来の特定の事象又は取引の結果に依存」、すなわち、追加対価の受渡しは将来に関するものとなりますので、過去の事象に起因して発生する損失を補償する契約(たとえば、買収前の年度に関する法人税等が追徴された場合には、売主がそれを補てんするような契約内容(表明保証条項))は、条件付取得対価には該当しないものと考えられます。 条件付取得対価の会計処理(日本基準) -追加支払の判明時にのれんの追加計上 Q:わかりました。 それでは具体的な会計処理はどのようになりますか。 A(会計士):条件付取得対価の会計処理は、日本基準と国際会計基準で異なります。 まず、日本基準からご説明します。 企業結合会計基準では「条件付取得対価が企業結合契約締結後の将来の業績に依存する場合には、条件付取得対価の交付又は引渡しが確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、支払対価を取得原価として追加的に認識するとともに、のれん又は負ののれんを追加的に認識する」、「追加的に認識するのれん又は負ののれんは、企業結合日時点で認識されたものと仮定して計算し、追加認識する事業年度以前に対応する償却額及び減損損失額は損益として処理する。 」とされています。 すなわち、企業結合日の会計処理は、その時点で確定している対価の額で行い、その後、対価を追加的に支払うことが判明した時点で、追加的な会計処理をします。 たとえば、冒頭の事例では、対価が確定している100億円で取得原価を算定し、受け入れる資産・負債の時価が80億円であれば、その差額の20億円がのれんとして企業結合日に計上され、これを20年以内の効果の及ぶ期間で償却します。 そして2年後にマイルストーンの到達により追加で150億円を支払うことが確実となったとします。 この場合には、その時点で、のれんと未払金を追加で150億円で計上し、そののれん150億円は2年前の企業結合日から計上されていたものと仮定して、当初ののれん20億円と同様の方法により償却することになります(過年度対応分はのれんの追加計上年度で一時の費用として処理)。 Q:有価証券報告書の企業結合関係の注記をみると「企業結合契約に規定される条件付取得対価の内容及び当連結会計年度以降の会計処理方針」として、次のような記載がありました。 ご説明のとおりの注記になっていますね。 事例1 対価を追加的に支払う契約 1 条件付取得対価の内容 クロージング後の特定事業年度における業績等の達成水準に応じて、条件付取得対価を追加で支払うこととなっています。 2 当連結会計年度以降の会計処理方針 取得対価の追加支払が発生した場合には、取得時に支払ったものとみなして取得価額を修正し、のれんの金額及びのれんの償却額を修正することとしています。 取得対価の減額が発生した場合には、取得価額を修正し、のれんの金額及びのれんの償却額を修正することとしています。 A(会計士):そうですね。 なお、 事例2は、おそらく特定の役職員の存在が超過収益力の大きな要因を占めていたのだと思います。 条件付取得対価の会計処理(国際会計基準) -企業結合日の公正価値で取得原価を測定 Q:それでは、国際会計基準の会計処理は、どのようになりますか。 A(会計士):国際会計基準は、IFRS3号「企業結合」で定められていて、「取得企業は条件付対価の取得日公正価値を、被取得企業との交換で移転された対価の一部として認識しなければならない。 」とされています。 したがって、支払いが確定している部分のほか、追加支払いの可能性がある部分も含めて時価(公正価値)評価して取得原価を算定します。 追加的に支払う対価が現金の場合には、取得日後の毎決算日に、利益目標の達成見込みなど、取得日後の事象により生じた変動(条件付対価の公正価値の変動)を純損益に認識することになります。 冒頭の例では、取得原価を企業結合日に支払いが確定している100億円と条件の達成可能性を考慮した債務の時価(公正価値)、ここでは50億円としますが、その合計額である150億円となります。 この結果、取得原価150億円、受け入れ資産・負債80億円ですから、企業結合日ののれんは70億円と算定されますね。 そして、日本基準とは異なり、その後、対価の追加支払いが確実になってものれんの金額は変動せず、それは負債の時価の変動として処理されます。 もし、追加支払額が150億円になると見込まれた場合には、取得原価に含めた50億円を控除した100億円を負債(および費用)計上することになります。 逆に追加支払いの可能性がなくなった場合には、企業結合日に計上した債務50億円を全額取り崩し、収益に計上することになります。 Q:条件付取得対価の会計処理は、日本基準と国際会計基準との間で、大きく違うのですね。 A(会計士):まとめると、企業結合日に計上されるのれんは、国際会計基準の方が条件付取得対価の時価部分だけ日本基準より大きくなります。 その後、条件達成の可能性が確実になったとき、日本基準ではのれんを追加計上して、のれんの残存償却期間に対応する部分は貸借対照表上の資産として繰越されることになります。 他方、国際会計基準では負債の時価評価として、一時の損益になるわけですね。 Q:国際会計基準による条件付取得対価の会計処理および開示の事例として、次のものがありました。 ここでは記載を省略しますが、実際にはさらに負債の公正価値の増減や感応度分析なども注記されていました。 なお、支払額の上限は設けられていません。 企業結合による条件付対価は主として一定期間、X事業の業績に応じて支払われるロイヤルティの見込額であり、時間的価値を考慮して計算しております。 条件付対価に係る公正価値変動額のうち、時間的価値の変動に基づく部分を「金融費用」に計上するとともに、時間的価値以外の変動に基づく部分を「その他の営業収益」または「その他の営業費用」に計上しています。 会計上のポイント• M&Aの実行に当たり、アーンアウト条項が付されることがある(会計上はその対価を条件付取得対価という)。 アーンアウト条項とは、企業結合日後一定の期間において、買収対象とされた企業または事業が特定の目標を達成した場合、買手が売手に対して予め合意した算定方法に基づいて買収対価の一部を支払うこととする規定である。 条件付取得対価の会計処理は日本基準と国際会計基準で異なる。 日本基準では、企業結合日の取得原価は対価が確定している部分で算定し、企業結合日後に対価の支払いが確実になった時点で、のれんを追加計上する。 国際会計基準では、条件付取得対価の公正価値を算定し、これを企業結合日の取得原価に含めることになるが、その後の公正価値の変動は損益で処理される(結果として、企業結合日現在は日本基準よりのれんの額が増えることになる)。 詳細は をご覧ください。 DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。 DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。 詳細は をご覧ください。

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アーンアウト条項 (Earn out Clause)-M&Aや投資案件で価格交渉に行き詰まったら

アーン アウト 条項

今日はそのスキームの1つである、「アーンアウト条項」が付されている株式譲渡に関するお話です。 税務通信によると、大部分のアーンアウト条項は雑所得に該当するケースが多いとのことです。 それでは株式の対価にはならないのか?それについてはこのように記載してありました。 アーンアウトで停止条件がないってあるのかな?という疑問はあるものの、停止条件が形式的なものにすぎず、実質的には停止条件がないものとして取り扱われた過去事例があると記載されています。 アーンアウト条項って?? そもそも、アーンアウト条項って何でしょうか? アーンアウト条項とは、以下のような条項のことを指します。 M&A取引の実行(クロージング)後一定の期間において、買収対象とされた事業が特定の目標を達成した場合、買手企業が売手企業に対して予め合意した算定方法に基づいて買収対価の一部を支払うこととする規定である。 山田コンサルティンググループHPより引用 簡単に意訳すると、株式はX億円で買収します。 ただし、X億円の内、Y億円については、一定の条件をクリアしたら、支払うよ、ということです。 有名なケースでは、仮想通貨取引所を運営していたコインチェックの買収にアーンアウト条項が使われています。 なぜ、アーンアウト条項が増えてきたのか? アーンアウト条項が増えてきた要因としては、以下のケースが考えられます。 1.将来の不確実性の軽減 2.買い手企業の資金調達負担の軽減 アーンアウト条項を満たすまでは支払いが留保される 3.売手株主へのインセンティブ ベンチャー企業を大企業が買収するケースにアーンアウト条項が付されるケースが多いのですが、これは1~3の要因によるものです。 将来の不確実性の軽減ニーズは非常に高い 個人的に特に大きな要因となっているのが、 1.将来の不確実性の軽減かと思います。 成長性だけは見込まれる企業を多額の資金で買収するにあたっては、将来の不確実性を可能な限り軽減したいはずです。 一定の条件を満たさない限り、支払いを留保できるアーンアウト条項は当該リスクをヘッジするためには最適です。 3.売手株主へのインセンティブ 次に、 3.売手株主へのインセンティブ効果も大きいです。 ベンチャー企業の多くは、会社経営に関する知識や経験等のいわゆるノウハウが代表取締役や取締役等の経営陣に集中してしまっています。 買収企業は、その会社のノウハウが欲しいから買収するわけです。 経営陣に辞められてはノウハウを得ることができません。 アーンアウト条項を設けたいという、買収側の意図としては、 我々がノウハウを吸収できるまでは辞めないでね、という意味も込められているのです。 税務上の取扱いはどうなる? アーンアウト条項について明確に定められた法令はありません。 アーンアウト条項を達成し、支払われた金銭は、株式譲渡による収入として計上すべき つまり、株式譲渡をした時期の収入として修正申告 なのか、アーンアウト条項を達成するか否かに関わらずアーンアウト条項を満たした場合に受け取る最大額を、確定申告の対象とすべきなのか、そもそも雑所得として申告すべきなのか、といった点に疑問が生じます。 所得税法上の取扱い 所得税法36条1項がきていする、収入金額は、その年において「収入すべき金額」とされております。 収入すべき金額とは、権利確定主義で考えることのようです。 停止条件が付されている場合は、当該停止条件が成就した時点で収入金額として参入するとされています。 となると、アーンアウト条項が、「停止条件」に該当するのか?という点がポイントになります。 アーンアウト条項が停止条件に該当するのであれば、株式売却時の確定申告ではアーンアウトによるインセンティブ部分は株式による収入に含める必要はないように考えられます。 なお、平成29年2月2日裁決では、アーンアウト条項は当然全て満たされ、アーンアウトに係る調整金は当然支払われることが予定されていた判断されています。 つまり、停止条件とは判断されず、株式を譲渡した時点でアーンアウト分も含めて確定申告をすべきだとの判断を下されています。 今後、アーンアウト条項を活用する企業はますます増えていくと思われます。 平成29年2月2日判決では、アーンアウト条項に係る金額についても「収入すべき金額」に含めるべきだとされていますが、個々の案件ごとで前提条件が異なるので留意が必要です。 対価が確実に入ってくると見込まれるからと言って、見込み段階 アーンアウト条項を達成していない でアーンアウトの調整金額を含めて、確定申告するのは売主さんにとって負担だろうなと、、、勝手に想像してしまいました。 cryptul.

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アーンアウト条項とは

アーン アウト 条項

アーンアウトとは何なのか解説していきましょう。 対してアーンアウトとは、 企業買収による買収金を一括で払わずに分割で払うことをいいます。 別の考え方であると、アーンアウトとは「価格調整金の扱い」ともいえます。 やはり、 買収先の業績がどう転ぶかは誰も予想がつかないわけです。 そこでアーンアウトでは、一部についてはじめにまとめて支払い、その後一定の基準をクリアした場合、例えば「数年後売り手側の営業利益が〇〇億円達成した」場合などの際に、 残りの分は利益を上乗せして支払いましょうという方法が可能になります。 このように、買収先企業の今後の成長を見込んで その後追加分の利益を支払う義務をアーンアウトと呼びます。 しかし、後述でも解説しますが「アーンアウト条項」というものがあれば、条件達成の状況によっては 当初よりも多くのお金を手に入れられる可能性がある、というメリットがあります。 つまり、売り手側企業のメリットとしては ボーナス的な追加のお金も大きくなるということです。 その際、売り手側も経営に関わることを継続させる条件があります。 事業がうまくいけば、はじめの想定以上のお金を受け取れるのです。 また、売り手側企業にとってアーンアウトは、業績を向上させることで後々多額の対価金を受け取るための 動機付け的な存在にもなります。 そして、特に成長段階のベンチャー企業においては、アーンアウトが資金調達の方法にもなりえます。 アーンアウト条項は、実際どういったときに役立つのでしょう?アーンアウト条項は、買い手側企業と売り手側企業との 考え方や価値観の溝を埋めるために役立ちます。 いわば、アーンアウトをする際の「決まり事」です。 というのも、買収対象となる企業に対して持つ 価値観や考え方などは、買い手側企業と売り手側企業とで双方異なります。 いくら売り手側企業が「とても価値のある企業」「思い入れのある企業」と思っていても、買い手側がそのように見なさなければ意味はありません。 実際に、発展途上にあるベンチャー企業やバイオ製薬会社など未知数の企業を大企業が買収する場合などのように、 将来への不確実性が高いほど取り入れることが多いです。 売り手側ができるだけ売りやすいようにという側面もありますが、 基本的に買い手側企業がリスクを軽減させるものとして取り入れる背景があります。 なお、日本では海外企業との間で行われるクロスボーダー案件においては、アーンアウト条項を利用することが多い傾向にありますが、 日本ではアメリカほど利用されていないようです。 このように、実際のところ日本ではどれほどアーンアウト条項が使われているのか 明確な数字はわかっていません。 しかし、少しずつではありますが日本でもアーンアウト条項の例が見られるようになりました。 ただ、それでも アメリカのアーンアウト条項例の例にまでは及んでいません。 ではなぜ、日本ではあまりアーンアウト条項が利用されていないのでしょうか? 日本では、アーンアウト条項付きの会計処理では 「条件付取得対価」として処理すると決められています。 企業連結会計基準において、条件付取得対価の会計処理は 「当該条件付取得対価の交付または引き渡しが確実となるまで会計処理は行わないこと」とその旨が記されています。 もう少し踏み込んでいうと、売り手側企業の純資産金は企業連結日時点では当初の支払った取得価額に基づいて純資産金額がひとまず計上されます。 その後、 アーンアウト条項による条件付取得対価の支払いが確定となった時点で、追加でのれんも計上されます。 このときに、追加で認識されたのれんは 企業連結日時点で会計処理上、想定の額で計上します。 その後、確定となったことで、のれんの事後調整もする必要があります。 アーンアウト条項で決められた条件に売り手側企業の業績が及ばなかった場合、どうなるのでしょう? この場合、買い手側企業は 売り手側企業から対価を返してもらう、あるいは本来支払うべきだった対価を減額することも条件付取得対価に含まれていると考えると良いでしょう。 日本の会計処理に対し、 国際基準(IFRS)におけるアーンアウト条項付き会計処理はどうなるのでしょうか? 国際基準の会計処理では、国際財務報告基準(IFRS)3号にて 「企業連結日時点で条件付取得対価は公正価値で計上される」となっています。 日本の会計処理ではのれんは取得日時点で処理される分と、条件付取得対価が交付または引き渡しが確定になった時点で 追加的に処理されるといったものでした。 つまり、国際基準(IFRS)であると計上された条件付取得対価に基づくのれんは、変動することがないということになります。 日本基準の会計処理以上に 公正価値による見立てが重要ということです。 このあたりの事情については、買い手側企業がいかに売り手側企業に対して 目標の達成ができるか、どれほどの目標達成を考えているかで左右されると考えるといいでしょう。 アーンアウト条項付きの会計処理では、日本基準よりも国際基準(IFRS)の方がより 売り手側企業の利益達成が可能であるのか、はじめの時点できちんと見極めておくことが大事です。 アーンアウトの条件には、主に財務指標(売上高、EBITDA、当期純利益など)、非財務指標(売上個数、入居率/空室率)などの 指標があります。 アーンアウトで注意しておきたいのは、買い手側企業が売り手側企業に支配権を握るようになったとき、こういった 業績にかかわる指標も操作される恐れがあることです。 というのも、買い手側企業としては売り手側企業の評価を下げることで、 アーンアウトの支払額を少しでも減らしたい気持ちがあるからです。 こういった事態を防ぐためにも、 アーンアウト条項で権利を侵害することはしないことや上記で述べたような財務指標のみだけでなく他の条件もアーンアウト条項に盛り込ませる方法もあります。 実は、アーンアウトは アーンアウト条項の存在が大きいといえます。 それだけでなく、今後の業績も予測不可能な企業を売買することは、 それだけでもリスクが高いことです。 前述でも触れたように、アーンアウト条項はこのような場合に備えて買い手側企業と売り手側企業の溝を埋めるもの、 リスクを下げるものとして活躍します。 お互いが極端に「損をする」「得をする」ということもありませんが、いわば「出し抜き」を制するものと考えてもいいかもしれません。 アーンアウト条項を利用することで、アーンアウトが買い手側も売り手側も お互いが釣り合うものと考えておくといいでしょう。 株式の譲渡は、企業の経営権を渡す大事な手続きです。 株式にかかる譲渡所得について、収入があった日として記載する時期は、国の定める租税特別措置法にて 「株式の引渡しが合った日」と定められています。 このときの株式に対して 誰に所得税が発生するのか、気になるでしょう。 税務上、譲渡所得による所得税は、どうなるのでしょうか? 株でも不動産でもそうですが、資産を売却することで税務上売り手側企業に譲渡所得が発生します。 この 譲渡所得を元にして、所得税が発生します。 この場合、法人は法人税、個人は個人税となります。 個人株主の場合、譲渡所得の計算式は次のようになっています。 譲渡所得=譲渡収入金額-必要経費(取得費+譲渡費用) 「譲渡収入金額」とは、株式を売却した金額ことをさします。 「取得費」とは、買い手側企業が売り手側企業の株式を買い取るときに発生した費用のことで、いわば購入費用です。 「譲渡費用」とは、株式の譲渡(売却)のために支払った費用のことです。 さらに、譲渡所得に次の計算式で課税することで 「譲渡所得税」が算出されます。 アーンアウトでは株式譲渡が行われる以上、所得税の発生にも気を付けましょう。 仮想通貨交換業者の コインチェック社が、ハッキングを受けたことで一躍メディアを賑わしたニュースがありました。 このときの株式による 買収価格は36億円。 「安いのではないか?」という声がよく聞こえてきますが、この価格が低いか高いかは今後のコインチェック社の業績がカギとなります。 コインチェック社とマネックス社とのアーンアウトでは、 「今後3事業年度(今後3年間)に及ぶコインチェック社の業績に応じ、最終利益の2分の1を上限に支払う」とされています。 わかりやすくいうと、今後3年間で100億円の利益を達成できれば、マネックス社からコインチェック社へ 半分の50億円がアーンアウトとして支払われるということになります。 今後のコインチェック社の業績にも注目が集まるアーンアウトの例です。 この2社間で行われたアーンアウトでは、はじめに普通株式で2,500万ドル(約27億5,000万円)と、現金5,000万ドル(約55億円)支払うこととなっています。 その後、Quartz社の業績の達成具合に合わせ、 株式で最大2,500万ドル(約27億5,000万円)相当、および現金最大1,000万ドル(約11億円)支払う決まり事がなされています。 アーンアウト対価の指標は、Quartz社の平成30年12月期の業績で判断されます。

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