いとあはれなり。 「あはれ」はなぜ悲哀化したのか?

『枕草子』の現代語訳:26

いとあはれなり

東京都府中市の大学受験プロ家庭教師『逆転合格メーカー』のコシャリです。 いつも独学受験. jpにお越しいただきましてありがとうございます。 助動詞: 薄緑のマーカーです 敬語: 緑のマーカーです 係り結び: オレンジのマーカーです。 音便: 水色マーカーです こんにちは。 コシャリです。 そろそろ、虫の季節ですね。 今回は清少納言さんが、 ちょーかわいい虫について語ってくれました。 虫はすずむし。 ひぐらし。 まつむし。 きりぎりす。 はたおり。 われから。 ひを虫。 ほたる。 品詞分解 虫 名詞 は 係助詞 すずむし。 名詞 ひぐらし。 名詞 蝶。 名詞 まつむし。 名詞 きりぎりす。 名詞 はたおり。 名詞 われから。 名詞 ひを虫。 名詞 ほたる。 名詞 みのむし、いとあはれなり。 鬼の生み たりければ、 親に似てこれも恐ろしき心あら むとて、 親のあやしききぬ引き着せて、 「いま、秋風吹か むをり ぞ 来むとする。 待てよ」 と言ひおきて、逃げて往に けるもしら ず、風の音を聞き知りて、 八月ばかりになれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く、 いみじうあはれなり。 」 品詞分解 みのむし 名詞 いと 副詞 あはれなり。 ナリ活用形容動詞「あはれなり」終止形 鬼 名詞 の 格助詞 生み マ行四段活用動詞「生む」連用形 たり 完了の助動詞「たり」連用形 けれ 過去の助動詞「けり」の已然形 ば 接続助詞 親 名詞 に 格助詞 似 ナ行上一段活用動詞「似る」連用形 て 接続助詞 これ 代名詞 も 係助詞 恐ろしき シク活用形容詞「おそろし」連体形 心 名詞 あら ラ行変格活用動詞「あり」未然形 む 推量の助動詞「む」終止形 と 格助詞 て 接続助詞 親 名詞 の 格助詞 あやしき シク活用形容詞「あやし」連体形 きぬ 名詞 引き着せ サ行下二段活用動詞「引き着す」連用形 て 接続助詞 「いま 副詞 秋風 名詞 吹か カ行四段活用動詞「吹く」未然形 む 仮定婉曲の助動詞「む」連体形 をり 名詞 ぞ 係助詞 来(こ) カ行変格活用動詞「来(く)」未然形 む 意志の助動詞「む」終止形 と 格助詞 する。 サ行変格活用動詞「す」連体形(「ぞ」結び) 待て タ行四段活用動詞「待つ」命令形 よ」 終助詞 と 格助詞 言ひおき カ行四段活用動詞「言ひおく」連用形 て 接続助詞 逃げ ガ行下二段活用動詞「逃ぐ」連用形 て 接続助詞 往に ナ行変格活用動詞「往ぬ」連用形 ける 過去の助動詞「けり」の連体形 も 係助詞 しら ラ行四段活用動詞「知る」未然形 ず 打消の助動詞「ず」連用形 風 名詞 の 格助詞 音 名詞 を 格助詞 聞き知り ラ行四段活用動詞「聞き知る」連用形 て 接続助詞 八月 名詞 ばかり 副助詞 に 格助詞 なれ ラ行四段活用動詞「なる」已然形 ば 接続助詞 「ちちよちちよ」 副詞 と 格助詞 はかなげに ナリ活用形容動詞「はかなげなり」連用形 鳴く カ行四段活用動詞「鳴く」連体形下に「ことは」を補う いみじう シク活用形容詞「いみじ」連用形「いみじく」ウ音便 あはれなり。 」 ナリ活用形容動詞「あはれなり」終止形」 ぬかづき虫、またあはれなり。 さる心地に道心おこしてつきありくら むよ。 思ひかけ ず、くらきところなどに、ほとめきありき たる こそ をかしけれ。 蝿 こそ、にくきもののうちに入れ つべく、 愛敬なきものは あれ。 品詞分解 ぬかづき虫 名詞 また 副詞 あはれなり。 終助詞 思ひかけ カ行下二段活用動詞「思ひかく」未然形 ず 打消の助動詞「ず」連用形 くらき ク活用形容詞「くらし」連体形 ところ 名詞 など 副助詞 に 格助詞 ほとめき カ行四段活用動詞「ほとめく」連体形 ありき カ行四段活用動詞「ありく」連用形 たる 完了の助動詞「たり」連体形 こそ 係助詞(係り結び) をかしけれ。 シク活用形容詞「をかし」已然形(「こそ」結び) 蝿 名詞 こそ 係助詞(係り結び) にくき ク活用形容詞「にくし」連体形 もの 名詞 の 格助詞 うち 名詞 に 格助詞 入れ ラ行下二段活用動詞「入る」連用形 つ 強意の助動詞「つ」終止形 べく 当然の助動詞「べし」連用形 愛敬なき ク活用形容詞「愛敬なし」連体形 もの 名詞 は 係助詞 あれ。 ラ行変格活用動詞「あり」已然形(「こそ」結び) 人々しう、かたきなどにすべきものの大きさにはあら ねど、 秋など、ただよろづのものにゐ、顔などにぬれ足してゐるなどよ。 人の名につき たる、いとうとまし。 品詞分解 人々しう シク活用形容詞「人々し」連用形「人々しく」ウ音便 かたき ク活用形容詞「かたし」連体形 など 副助詞 に 格助詞 す サ行変格活用動詞「す」終止形 べき 当然の助動詞「べし」連体形 もの 名詞 の 格助詞 大きさ 名詞 に 断定の助動詞「なり」連用形 は 係助詞 あら ラ行変格活用動詞「あり」未然形 ね 打消の助動詞「ず」連已然形 ど 接続助詞 秋 名詞 など 副助詞 ただ 副詞 よろづ 名詞 の 格助詞 もの 名詞 に 格助詞 ゐ ワ行上一段活用「ゐる」連用形 顔 名詞 など 副助詞 に 格助詞 ぬれ足 名詞 し サ行変格活用動詞「す」連用形 て 接続助詞 ゐる ワ行上一段活用「ゐる」連体形 など 副助詞 よ。 終助詞 人 名詞 の 格助詞 名 名詞 に 格助詞 つき カ行四段活用動詞「つく」連用形 たる 完了の助動詞「たり」連体形 いと 副詞 うとまし。 シク活用形容詞「うとまし」終止形 夏虫、いと をかしうらうたげなり。 火 近うとりよせて物語など見るに、草子の上などに飛びありく、 いとをかし。 蟻は、いとにくけれど、かろび いみじうて、水の上などを、 ただあゆみにあゆみありく こそをかしけれ。 品詞分解 夏虫 名詞 いと 副詞 をかしう シク活用形容詞「をかし」連用形「をかしく」ウ音便 らうたげなり。 ナリ活用形容動詞「らうたげなり」終止形 火 名詞 近う ク活用形容詞「近し」連用形「近く」ウ音便 とりよせ サ行下二段活用動詞「とりよす」連用形 て 接続助詞 物語 名詞 など 副助詞 見る マ行上一段活用「見る」連体形 に 格助詞 草子 名詞 の 格助詞 上 名詞 など 副助詞 に 格助詞 飛びありく カ行四段活用動詞「飛びありく」連体形 いと 副詞 をかし。 シク活用形容詞「をかし」終止形 蟻 名詞 は 係助詞 いと 副詞 にくけれ ク活用形容詞「にくし」已然形 ど 接続助詞 かろび 名詞 いみじう シク活用形容詞「いみじ」連用形「いみじく」ウ音便 て 接続助詞 水 名詞 の 格助詞 上 名詞 など 副助詞 を 格助詞 ただ 副詞 あゆみ マ行四段活用動詞「あゆむ」連用形 に 格助詞 あゆみありく カ行四段活用動詞「あゆみありく」連体形 こそ 係助詞(係り結び) をかしけれ。 シク活用形容詞「をかし」已然形(「こそ」結び) この記事を読んだ人は下の記事も読んでいます お役に立てましたらランキングをクリックしていただけると大変うれしいです。

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清少納言もインコ・オウムを知っていた!?「春はあけぼの」以外の枕草子

いとあはれなり

「父よ、父よ(または乳よ、乳よ)」 と心細そうに鳴くのは、大変しみじみと心打たれる。 コメツキムシも、また趣深く感じる。 そんな(ちっぽけな虫の)心にも仏教を深く信仰する心を生じさせて、額を地につけて拝みまわっているのだろうよ。 予期しない暗い所などで、ことことと音を立てながら歩いているのは面白い。 蝿こそ気に入らないものの中に入れるべきで、かわいげのないものである。 人間並みに、相手などにするほどの大きさではないが、秋などに、直接にいろいろな物にとまり、顔などに濡れた足でとまっていることよ。 人の名に(蝿と)ついているのは、とてもいやな感じだ。 夏虫はとても趣があってかわいらしい。 明かりを近くに引き寄せて物語などを読んでいると、本の上を飛んでいる様子はとても趣がある。 蟻は、とても気に入らないのだが、身軽さは並々ではなく、水の上などを、ひたすら歩きに歩き回るのは、趣がある。

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「みのむし、いとあわれなり。鬼の生みたりければ、親に似てこれも...

いとあはれなり

高校入試の古文で最もよく意味を問われるのが「をかし(おかし)」と「あはれ」です。 どちらも心が強く動いた時、感動した時に発する言葉ですが、意味や使い方に違いがあります。 まず「をかし」について述べます。 「をかし」は「面白い」とか「趣がある」と訳しますが、この面白いは、おかしくて笑ったときの面白いとは意味が違います。 知的な楽しさでの面白いです。 頭脳が「なるほど!ほう、これは面白い!」と判断し、心がわくわくした時に使うのが「をかし」です。 たとえば、一休さんのとんち話で「この橋、渡るべからず(この橋を渡ってはいけない)」という立札が橋のたもとに立ててあったとき、一休さんが橋の中央を堂々と渡り、それをとがめられて「端を渡ってはいけないとあったので、橋の真ん中を渡りました」と答えたときの「なるほどなあ!」と感心する面白さです。 また、をかしの代表的な文学として清少納言の「枕草子」があります。 枕草子には「いとをかし」のフレーズが随所に出てきます。 有名な「春はあけぼの」の段 夏は夜。 月の頃はさらなり。 闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる。 また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。 雨など降るもをかし。 秋は夕暮れ。 夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。 まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。 日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。 この文章にも、「をかし」が何度も出てきます。 これを現代語に訳すときは「面白い」という意味よりも、「情趣がある」とか、「趣がある」と訳すのがしっくりいきます。 清少納言は、「蛍」「夏の夕立ち」「秋の雁」を、季節を象徴する風物詩的なものとして受け止めています。 季節を象徴するそれらのもと、季節に彩られた自然や風景全体とのつながりに知的な楽しさを見出し、「をかし」と表現しているのです。 次に「あはれ」について述べます。 「あはれ」は「しみじみとした趣がある」と現代語に訳すのが一般的です。 現代語では「あわれ」といえば、「かわいそう」の意味になります。 古文の「あはれ」も「かわいそう」の意味もありますが、「しみじみとした趣がある」という意味になることのほうが多いです。 「をかし」も「趣がある」と現代語に訳すのですが、「をかし」と「あはれ」で「趣がある」という心の状態は異なります。 「をかし」の「趣」は「なるほどな!」という頭脳を働かせての楽しさですが、「あはれ」の「しみじみとした趣」というのは、「心が揺さぶられ、感情が動くさま」のことです。 「心情に働きかける趣」が「あはれ」なのです。 「あはれ」について、さらに詳しく説明しましょう。 私たちは、何か予期せぬものを見たり聞いたり、あるいは経験した時、あまりの思いがけなさに感情が強く動きます。 そのとき思わず、口について出る言葉が、「あはれ」なのです。 あまりの思いがけなさに感情が強く動いたとき、その心の動きを表すのが「あはれ」であるため、「あはれ」は、実にたくさんの意味を持つことになります。 たとえばどこかに旅行に出かけたとき、思いがけず満開の桜の花が咲き誇る公園を見つけたとしましょう。 こんな時に、口をついて出ることばが「あはれ」なのです。 また、幼い子が、辛い顔をして泣いているのを見かけたとします。 私たちは、心配でいたたまれなくなり、なんとかしてあげたいという気持ちになります。 この時の感情も「あはれ」なのです。 美しい女性に偶然出会い、すぐさま恋に落ちたとします。 このときの感情も「あはれ」です。 ある人の不幸な身の上話を聞き、不憫に思い、もらい泣きをしたとします。 このときの感情もまた「あはれ」です。 このように「あはれ」は、同情であれ、美しさであれ、見事さであれ、何らかの感情が思いがけず強く動いたときに使う言葉です。 そのため、「あはれ」は、さまざまな現代語に訳すことができます。 あはれは、文脈に応じて、「感動する、かわいそうに思う、悲しく思う、素晴らしいと思う、恋をする、美しいと思う」などと訳すことができるのです。 先ほど引用した清少納言の「春はあけぼの」の段を読めば、「をかし」と「あはれ」の違いが理解できると思います。 「烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。 」は、夕暮れ時、数羽のカラスが寝どころに急いで帰っていく姿に、思いがけず心が深く動くような感動をしたということです。 清少納言は蛍や夏の雨には頭脳を働かせての情趣を感じ、夕暮れの烏には心に響くようなようなしみじみとした趣を感じたのです。 また、「あはれ」の文学で代表的なものは紫式部の「源氏物語」です。 源氏物語は一言でいうと恋愛小説です。 恋愛というのは頭脳でするものではなく、心でするものです。 心が強く動くのが恋愛です。 ですから「あはれ」という語が多いのも納得でしょう。 あはれの文学とは、感動の文学というところでしょう。 最後にまとめると、「をかし」は頭脳の働きとともに湧き起こった感動や趣で、「あはれ」は、自分でも思いがけず、感情がひとりでに動いたときの、心に湧き立った感動です。

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